特許制度の意義

発明に対して特許制度により独占的権利を与える根拠としては、いくつかの説が提唱されている。それらを大別すると、基本権(自然権)説と産業政策説の2つに分けられる。現在では、産業政策説に属する公開代償説が最も広く受け入れられている。

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    基本権(自然権)説

    発明に対する権利は、人間に与えられた基本的な権利(自然権)であるとする説。1791年のフランス特許法等で採用された考え方である。財産権説と受益権説に細分される。

    財産権説

    発明に対する権利は財産権であるとする説。
    この説によれば、特許法は、権利を創設するのではなく、規制するものであるということになる。
    この説では、各国で独立して特許が与えられること(属地性)、複数の者が独自に同じ発明を完成しても最初に出願(または発明)した者しか権利を取得できないこと、出願をしなければ権利を取得できないことを説明することができない。

    受益権説

    発明が社会に貢献した程度に比例して、その報酬を受ける権利があるとする説。
    この説では、上記の財産権説の矛盾に加えて、発明の社会への貢献度とその報酬とが必ずしも比例しないことを説明することができない。

    産業政策説

    発明に対する権利は、国の産業政策として発明の権利保護を図るために与えられるとする説。公開代償説、発明奨励説、過当競争防止説(競業秩序説)に細分される。

    公開代償説

    仮に、発明者に独占権を認めないとすると、発明が他人に模倣されてしまうために、発明者は発明を秘密にし、その結果、発明が社会的に活用されないことになる。このため、新規で有用な発明を世の中に提供した代償として、一定期間、その発明を排他的に独占する権利を付与するとする説で、現在最も広く支持されている説である。

    発明奨励説

    仮に、発明者に独占権を認めないとすると、発明者は自ら発明したにもかかわらず他者に対して優位な立場に立つことができず、発明を行ったり、それを事業に結びつける意欲を失い、その結果、発明が社会的に活用されないことになる。そこで、発明を奨励するために、一定期間、その発明を排他的に独占する権利を付与するとする説である。

    過当競争防止説(競業秩序説)

    仮に、発明者に独占権を認めないとすると、発明が他人に模倣されてしまうために、発明者や企業は、他人の発明を模倣することや、自分の発明を模倣されないようにすることへ注力し、過当競争状態が生じ、発明自体に対する意欲や投資のインセンティブが働かない。そこで、過当な競争を防止するために、一定期間、その発明を排他的に独占する権利を付与するとする説である。

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